WEBサイト制作者のためのHCD(人間中心設計)の理解 in 名古屋(フィールドワークとフォトカードソート)

WEBサイト制作者のためのHCD(人間中心設計)の理解 in 名古屋の第2回、フィールドワークとフォトカードソート[フィールドワークとその分析]に参加してきました。今回、はじめて参加したのですが、体験として身になったと言うか、非常に勉強になりました。一番の収穫は、カテゴリーとタグの違いとか、分類の仕方が、なんとなく体で分かった!という感じがしました。具体的には後述します。

セミナーの様子は、講師の浅野先生のブログ、情報デザイン研究室から見る事ができます。

HCDについて、コンセントの長谷川さんのエントリーがあったので、以下に引用。

HCDとはHuman Centered Designの頭文字をとった言葉で、日本語では人間中心設計と訳されています。
似たような言葉でUCD(User Centered Deisgn)という言葉もありますが、ほぼ同じ意味と考えてかまいません。
HCDは80年代、90年代にそれまで機能が実現され ることが目的であったコンピュータや機器類などに、「人の使い勝手」視点を導入する意図で提唱されました。特に、米国のアップル社では90年代に、それま でのプロダクト、マーケティング等が縦割りであった組織の中で「誰のためのデザイン」で有名なド ナルド・ノーマン博士が「ユーザーエクスペリエンスラボ」という横断組織を作り、利用者観点でのエンジニアリングをスタートさせたよ うな活動が有名です。また、1999年にはISO13407「人間中心設計のためのプロセス」として規格化もされています。

(中略)

わかりやすくするために一言で言ってしまえば、HCDとは「使う人の観点でものを作るためのしくみ」となります。

(中略)

「利用者のことなんてとっくに考えているよ」という言う方も多いと思いますが、ポイントは、デザイナーがやっているよということではな く、プロジェクトマネージャがきちんとプロセスとしてこの手続きを取り入れていること、ビジネス主体側がこの考え方を理解しているというところにありま す。単なるデザイナーのがんばりではなく、ビジネスとして実施していることが必要なのです。

HCDとは:使う人の観点でものを作るためのしくみ | ラボ | 株式会社コンセント より

今回は、午前中はフィールドワーク、午後からフォトカードソートというものを行いました。

フィールドワーク

前提条件

  1. 皆さんは「名古屋市観光案内のサイト」を制作中です。
  2. サイトのペルソナは、何度か名古屋市を訪れたことのあるリピーター。
  3. サイトのコンセプトは「リピーター観光客が、名古屋初心者の友人を案内する場合に自慢出来る観光案内」です。
  4. 既存の観光案内に載っていないような「名古屋名所」を斬新な視点で探してください。

以上の前提条件のもと、サイト制作の案を考えてきました。

散策

4名でチームを組み、フィールドワークを行いました。まず、4人でミーティングを行い、どんなテーマで巡るかを話し合いました。既存の観光案内に載っていないようなというところから、名古屋市西区の円頓寺商店街とその少し北にある、菓子・玩具問屋街という少しマニアックなエリアを巡りました。

結果的には、そのモノ自体にはあまり重要性はなくて、いろんな被写体を撮影してくるという事だったようですが、円頓寺商店街と、菓子・玩具問屋街は古い町並みや昔なつかしの雰囲気が残っていてそれはそれで楽しかったです。

フィールドワークは、はじめ決めたテーマに沿って撮影・調査を行っていましたが、現場でいかに発見(質的調査)をするか「半構造化=一般解」から「非構造化=特殊解」を導くかがポイントとして大事だと言う事を教えていただきました。

半構造化インタビューと非構造化インタビューについては、 半構造化インタビューと非構造化インタビュー | 情報デザイン研究室

お昼は、こちらも名古屋の隠れ名物あんかけパスタを食べたりました。

フォトカードソート

午後からは会場に移動してフォトカードソートのワークショップが行われました。

準備

写真を30枚選ぶ

  1. 似ているものは排除
  2. ありきたりなものは除外(珍しいものを)
  3. それでも、絞り込めなかったらおもしろいものを
  4. 選んだらプリント(A4用紙に6枚x2セット)
  5. 写真を1枚ずつカード状に切り分ける
  6. 記録用に写真に番号をつける(属性ではなくランダムに)

この写真を選ぶという準備作業もなかなか難しい。似ているものは排除、珍しいものを選ぶという事でしたが、後で大変なことに…。

写真を30枚選んで、A4用紙に6枚ずつ x 2セット、計10枚プリント作業を行いました。A4に写真を6枚、瞬時にぱっとプリントするという作業をどのグループも難なくこなしていて、さすが場慣れしてるとか思ってしまいました。プリントした写真をはさみで切り取り、連番を振って、カードにしました。

カードソート1回目(オープンソート)

写真を自由にいくつかのグループに分類する

  1. グループにラベリングをする
  2. 分類理由をメモにとる。(簡易発言録)
  3. 記録用紙に結果を記録する
  4. 模造紙に貼り付ける

フォトカードを5+1→5〜6程度にグルーピングしました。この5〜6とは、人間の短期記憶を根拠に、ぱっと把握できるグループの数だそうで、ウェブサイトのグローバルナビゲーションはこれに相当します。昔は7±2→5〜9程度とも言われていたそうです。

ワークショップはクオリティよりも時間を決めて体験することが重要という話もありましたが、このオープンソートのグルーピングはなかなか難しかった。そもそもバラバラに集めてきた写真ですし、みな苦戦してました。

後の講義でお話いただきましたが、カテゴリーは、横に並列に並べれるレベルで分類をしなければならないのですが、うちのチームは、「歴史」「にぎやか」「花嫁」「元気」「キャラクター」という全く並列にならばないようなラベリングで分類をしてしまいました。これはどちらかというとカテゴリーというよりはタグだなと、カテゴリーとタグの違いを、凄く実感として感じました。

カードソート2回目(クローズドソート)

別チームの人に実施してもらう

  1. ラベルだけ並べておき、そこに写真を分類してもらう
  2. 分類理由をメモにとる。(簡易発言録)
  3. 記録用紙に○×(迷ったもの、最終的に別の分類にしたものは、移動先のカテゴリー名を記入)で記入していく
  4. 2〜3人試してみる
  5. 一番極端な例を模造紙に貼り付ける
  6. 別のチームの代表者が行った結果がどれだけ自分たちの分類どおりになっているか、自分たちの分類およびラベリングが他者に伝わるものであったかを検証する

グルーピングのレベルの問題はさておき、「にぎやか」と「元気」というラベリング自体もかなり似ていることで、どちらに入れればいいのか分かりづらかったり、写真を撮影した人とその写真を客観的に見る人の視点とでは、その写真に写っている情報が思い入れによってかなりばらつきがあるようで、それもこちらが意図しているグルーピングのところに入れてもらえなかったりしました。

このようにカードソートを複数の人で行うことは、客観的にサイト構造を作る上で効果的であるということが、実感としてよくわかりまいた。

LATCH

以上のようなカードソートを行って、講評会をした後、最後に浅野先生に今日やった事のまとめのお話をしていただきました。

その中ででてきた言葉として、LATCHというものがありました。LATCHとは、R.S.Wurmanが提唱した分類で、カテゴリー(Category)、アルファベット(Alphabet)、時間(Time)、位置(Location)、階層(Hierarchy)の5つで分類する方法。その頭文字をとってLATCH(ラッチ)と言うそうです。例えばアルファベットの分類方法は、一番下等な分類として、教育がされてなくても探すことができる分類だという事も話されてました。

朝一から夕方までの長丁場のセミナーでしたが最後まであっという間でした。なかなか書籍だけで知識を得たつもりの事が、実践するとなかなかうまくいかない。失敗することでより知識を深めることが出来たのではないかと思います。仕事の中でも積極的に取り入れて行きたいと思います。


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yamada takuo

有限会社アップルップル デザイナー

カメラと自転車と本屋が好きです。愛知県岡崎市在住。