HCD-Net セミナーin 名古屋 2012(第1回)に参加して

4月28日(土)にウインクあいちでHCD-Net セミナーin 名古屋に参加してきました。今回は第1回目ということもあり、導入という感じでした。HCDの勉強会自体に参加するのも久しぶりだったので、楽しく学ぶことができました。

「HCD概論(HCDの基本概念、ペルソナ、ユーザビリティの考え方など)」愛知工業大学 小林先生

「勉強会」の主旨、HCD習得の5段階アプローチ、UX book club Nagoyaについて、お話していただきました。話のメインはHCD習得の5段階アプローチで、以下の5段階をご紹介いただきました。

  1. 人間の基本的認知段階(まず人間について知る)
  2. 原理・原則段階(基本を押さえる)
  3. 知識・調査段階(調べてわかる知識を得る)
  4. デザイン段階(デザインする上で知っておくべきことを知る)
  5. 提供・使用段階(使いやすさを確認しながら、楽しさも加える)

以下、各項目のメモです。

1. 人間の基本的認知段階

人間の基本的認知段階では、方向感受性(時計の数字が30度ごとに配置されている話)、視覚特性(文字詰めの話)、展望と退避、サバンナの優位性、脅威の検出、上方照明の先入観について。

2. 原理・原則段階

原理・原則段階では、方向通則(ISO 1503: 2008)、ユーザビリティの7原理(ISO 9241-110 のユーザビリティ原理他、ニールセンのヒューシスティク評価法、Norman の単純化7原則、Shneidermanの8つの黄金則なども紹介)、デザイン100の法則(現在は125の原理、80対20の法則、望線)、知っておいて損はない法則・原則(フィッツの法則、ヒックの法則、Webサイト・コミュニケーションの6原則)、ISO・JISについて(人にやさしい規格JIS X 8341、アクセシビリティ規格ISO 9241-171、今後の動向)。

3. 知識・調査段階

知識・調査段階では、ユーザーを知るためにペルソナや、先人の知識、アンケート方法(QUIS、SUS、SUMI、WAMMI)、ガイドライン作成について。ガイドラインでは特に米国国立がん研究所のWebユーザビリティ・ガイドラインResearch-based Guidelinesを勧められていました。Research-based Guidelinesについては、株式会社インフォアクシアさんのサイトで日本語でみれるようです。『Research-Based Web Design & Usability Guidelines』/リンク&資料集 - Webアクセシビリティポータルサイト『infoaxia(インフォアクシア)』

4. デザイン段階

デザイン段階では、デザインについて全てに「why」と「because」が言えること、色の特性の話(交通標識、ケーキミックス、色彩残像)、マッピング、1/3の法則などについて。

5. 提供・使用段階

提供・使用段階では、使用中の評価などについて。

小林先生の講義では、HCDに関する全体像を駆け足で紹介していただいたという印象で、教えていただいたキーワードをさらに掘り下げて復習したいと思います。

「HCDにおける視覚化手法について」・ミニ・ワークショップ『スパゲッティ・キャンチレバー』横浜デジタルアーツ専門学校 浅野先生

スパゲッティ・キャンチレバーは、アメリカのスタンフォード大学のブートキャンプで行うワークショップだそうです。課題の具体的な内容は以下です。

以下の材料を使って、テーブルから床につかないようにキャンチレバー(片側が固定された梁構造)を作り、可能な限り長くとどかせることが出来るか競う。

  • スパゲッティ(直径1.9mm)x20本
  • セロテープ 1巻
  • たこ糸 2m
  • ハサミ

ルール

  • 二人で一組になってください。
  • テーブルは各チーム同じ高さにしてください。
  • 設計図は描かないでください。
  • 30分間で作ってください。
  • 制限時間になったら、キャンチレバーの長さを測りコピー用紙に記入してください。
  • リフレクションを行ったら、もう一度30分間で同じ課題にチャレンジしてください。
  • 再度キャンチレバーを計測して、順位を決めてください。

HCDのセミナーの面白いところは、突然共同作業をしないといけない状況になって、参加者同士でグッと距離が縮まるというか仲良くなれるところがいいです。このスパゲッティ・キャンチレバーのワークショップの狙いも、人はしゃべるよりも作業を一緒にすると仲良くなるというもありすし、その他に、作業とリフレクションの繰り返しがアイデアを生む、最初のコンセプトを捨てる勇気など、プロトタイピングの考え方を学ぶものでした。捨てるときは、全て捨てるということも重要だそうです。

僕らのチームは、1回目50cm、2回目82cmでした。ワークショップって体験すること、通しで最後までやることが重要で、成果物のクオリティは特に求めなくてもよいと言われていたけど、どうしてもこう競い合うないようになると熱くなってしまいますね。

このスパゲッティキャンチレバーWSは成功例をアップしちゃ行けないルールなのでキャンチレバーの写真はないです。代わりに、2回目に最長をたたき出したチームと、1回目からリフレクションを通して、3倍に距離が伸びたチームの記念写真を。

「HCDにおける視覚化手法について」・講義(アクティングアウト、ペーパープロトタイピングなど) 横浜デジタルアーツ専門学校 浅野先生

ワークショップの後に、HCDにおける視覚化手法について、サービスデザインからUX、アクティングアウトとペーパープロトタイピングを中心に紹介していただきました。

UXについて

ユーザエクスペリエンスとは

ユーザーが製品やサービスの購入、利用、所有などの一連の体験を通じて感じることのできる「気持ちよく使えた」、「嬉しかった」、「面白かった」といった、ユーザビリティ(使いやすさ)よりもさらに大きな概念。

浅野先生が台湾に仕事で訪れた時の話から、なれてくると細かいところに目がいきだが、海外に行くと発券機で切符を買うことが目的ではなく、早く快適に目的地まで行くことがそもそのも目的であることに気づかされるとのこと。私たちが作っているあらゆるものはサービスデザインであり、ユーザー体験(UX)になる。

UX白書では、UXを期間で区切り考え方を整理している。利用前、利用中、利用後、利用時間全体と区切っており、利用中のインタラクションが心地よいだけでなく、利用時間全体として長期利用品質が高いという視点もあるとのこと。

また、最近ノーマンは、書籍『複雑さと共に暮らす―デザインの挑戦』の中で、複雑さでもUXはあるのではないかという話で、例えばカメラは最初撮れるのが楽しいが、なれてきて難しい設定で上手くとれると嬉しいという例をあげられてました。『複雑さと共に暮らす―デザインの挑戦』読まねば。

スマートフォン

アジア・アフリカでもPCからスマートフォンの時代に、そんな中、韓国での駅のホームでスマートフォンを使った買い物ができるサービスを紹介していただきました。

最後に浅野先生の講義の中で紹介していただいた分類の表をメモ。

代表的なHCD手法

デザインプロセス代表的な手法
利用状況の把握と明示フィールドワーク
オブザベーション
インタビュー
ユーザーと組織の要求事項の明示ペルソナ/シナリオ法
構造化シナリオ法
評価グリット法
設計による解決案の作成ペーパープロトタイピング
アクティングアウト
要求事項に対する設計の評価ヒューリスティック評価
認知的ウォークスルー法
プロトコル分析

アクティングアウト(ユーザーの振る舞いをスケッチする)

理解の対象表現手法
モノのスケッチプロトタイプ
概念のスケッチダイアグラム
コトのスケッチアクティングアウト

アクティングアウトの気づきの視点

アクティングアウトの種類得られる気づき
1.人工物の振る舞い人工物・環境
2.ユーザー再現ユーザー・環境
3.シミュレーション&オズの魔法使いユーザー・人工物・オーディエンス
4.プレゼンテーションオーディエンス

ペーパープロトタイピングの種類

機能分類種類
スケッチ(観察)1.ワイヤーフレーム(ストーリーボード)
2.モックアップ
プロトタイプ(評価)3.思考発話法
4.オズの魔法使い
5.ストーリーボーディング

ペーパープロトタイピングの特徴

ペーパープロトタイピングの種類得られる評価視点
1.思考発話法観察から得られる問題点の発見、発話から得られる改善のヒント
2.オズの魔法使い人工物とユーザー・環境との関連性
3.ストーリーボディングユーザーの文脈的な行動とインターフェイスの関係

いろいろとはしょってますが、第1回のまとめは以上です。今月は、5月26日(土)にHCD-Net セミナーin 名古屋 2012(第2回)があります。あつかうテーマは「オブザベーション」です。また、6月30(土)はストーリーテリング、7月14日はIAシンキングを予定しているそうです。

参考:


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yamada takuo

有限会社アップルップル デザイナー

カメラと自転車と本屋が好きです。愛知県岡崎市在住。